郵政民営化、とは何か(と岩波新書みたいにいう)
さて、「郵政民営化が争点だ!!」と小泉さんが叫んで、衆議院の解散が決まってしまったわけであるが、じゃぁ一体、郵政民営化の問題って、何でしたっけね、ということを考えつつ、衆議院選挙の予想でもしてみようかと思います。
今回は、そんな、お話。
まず、最初に言っておくと、私は民営化自体に是が非でも反対、というわけではありません。 正直、反対派の皆さんが言っている「外資に全部持っていかれちまう」っていうのも「持っていかせるなら持っていかせりゃいいじゃねぇか、それで死ぬわけでなし」と思っています。
とはいえね、今の小泉さんのやり口には、正直ついて行けんところがあるんだわ、で、その理由をお話する前に、補助線として、政府与党の幹事長(私が取り上げるのがどなたかお分かりですね。 そう、尼崎のあの方です。)と、政府税調の発言を取り上げてみようかと思います。
で、尼崎の方であるが、先日のTV出演のおりに「政治は数」発言を繰り返した挙句、さらにあろうことか「政府与党で過半数をとることが出来ればどんな法律でも通すことが出来るんですよ」とご発言なさったわけですね。 仮にも与党の(ま、無責任与党ですが)幹事長が、このような空恐ろしい発言をなさるとは、夢にも思っておりませんでしたので、大変驚かせていただきました。
で、この発言については、改めておかしな点を言うこともないのですが、申し上げておきますと、まず一点、これは再三私も指摘していることなのですが、「多数決は民主主義の原理だ」というお話は、まったくの間違いです。
「多数決は民主主義の手段」であり、それも「やむを得ずとらざるを得ない手段」なのです。 国家のシステムというものが大きく、複雑になっている以上、すべての法律を議論するたびに「国民全員の同意」を得ることが難しいので(つまり民主主義の原理とは「全会一致」なんです。)やむを得ず、利害の違う代表を選出して、その代表同士の話し合い(これが「国会」ですね)によって決める。 それでも完全に一致することが難しいので、多数決という手段をとる、ということなわけです。
さらに「どんな法律でも」の部分についてですが、本当にどんな法律でも通していいんだったら、総理大臣に「全権委任状」でも渡して、勝手に「こんな法律を作ります」って発表させておけば良いんです。
しかし、これでは完全に「独裁者」あるいは「皇帝」のようになってしまいます。 馬鹿ですか、この方は。 どうもこの方の発言は、完全に国民を馬鹿にしきった「お前らなんかに法律の可否なんか分かるはずないやろ、ボケ」という意識が透けて見えますね。
さて、次に政府税調のいわゆる「サラリーマン増税」の発言についてですが、「刺激的でしたかな」とか小馬鹿にした態度をおとりになった一橋大学の先生は何を考えておられるのか、理解に苦しみますが、これと「郵政民営化」のお話をあわせると、面白いことが見えてくるわけです。
ああ、"ですます調"に疲れたのでここからいつもの語り口に戻って、
「郵政民営化」っていうのは、何でしょうかね、と考えたとき、ざっと大雑把に言いますと最初はこれ「国民の財産である郵便貯金、簡易保険のお金、350兆あまりの中から、無駄な公共事業がたくさん行われている、だから、それをやめさせよう」という、いわゆる「財政投融資」の話だったわけだよね。
で、そこから、「完全民営化すれば金融市場にお金が回るし、政府の税収だって上がるよね」てな話になり、おや、「税収」、そう、今の日本は完全な「債務超過状態」なわけだ、国債だけで700兆以上残高があるんだから。
で、政府は国債に郵貯、簡保の350兆円のお金のうち140兆は使ってる、といってるので、残りの200兆あまり(の一部)が金融市場にきちんと出回ったとして、それをもとに企業に融資、企業がそれで設備投資して、株価も上がり、景気が良くなって、所得が増える、と、・・・・バンザーイ。 とはならんのだよね。
そこで、先ほどの「サラリーマン増税」の話が効いてくるわけですよ、つまりきちんと市場にお金が出回ったとしても「タイミングを見計らって所得税の増税をして、所得の増えた分を税収にあて、財政再建をしよう」という話なんだよね。
あれ、「財政再建」するならいいじゃん。 とか思いました? しかしこれも、よく考えると、その段階では「好景気」になってるはずだから、物価は上昇してるはずで、そうした中で所得の増加分を税金で取ってく、てな話なんだから、サラリーマンの皆さんの実質の所得は目減りする、はずなんだよねぇ。
さらに、この設定では反対派な皆さんのよく言う「外資が参入してお金をもってっちゃう」っていう要素をゼロ、またはゼロに限りなく近く見積もってるわけだけど、それが逆に100%に近い場合はどうなるか、というと、金融市場に出回るはずだったお金があまり出回らず、したがって思ったよりも景気も良くならず、税収も上がらず、さらに国債の発行も出来ずに手詰まりの状態になって、突然国が
「ごめんなさい、国債の利子を払えなくなりました、国民の皆さん、借金棒引きさせてください」っつって、債務取り消しを求めてくる(これを国債のデフォルトといいます)事態になるんだよね、で、そうなると「こんな国に金融財政を任しておくわけにはいかん」っていって「IMF」の管理体制下に置かれる(実質アメリカの経済植民地化する)ということになるわけなんだ。
これはどっちにしたって、あんまり思わしい状態とは思えないんだけどねぇ。
さて、最後に衆議院選挙の予想なんであるが、この選挙の最初のほうの報道を見ていて思ったのは、「ブッシュさん再選の時の報道姿勢と似ている」っていうことなんだ、そこで、私の予想としては、「最初小泉さんべた褒めで、徐々に野党の主張も良いじゃん、てな風向きに変わるが、最終的には"でも、郵政民営化は賛成だよね"てな報道一色になって、自民党の勝利」てな展開になるんじゃないかねぇと思うわけだ。
ただし、ブッシュさんのときとは違って、選挙期間が非常に短いので、野党よりに傾いたまま、という事態も起こり得るかな、とは思うけれど。
それから最後に言っておくと、小泉さんのやってる「敵か味方か、いうて無理やりに踏絵を踏ませる」っていうやり口って、どっかでみたことがあるなぁ、と思ってたんだけど、「味方じゃなけりゃみんな"共産党だ!!"」って言ってくる創価学会さんのやり口にそっくりなんだよねぇ。
いやぁ、利用できるとなったら、カルト宗教のやり口さえ厭わないとは・・・。
「よくがんばった。 感動した!!」
以上、今回のお話は、ここまで。
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Listed below are links to weblogs that reference 郵政民営化、とは何か(と岩波新書みたいにいう):
» 「郵政民営化で、得するのは誰なのか?」-ウォールストリートジャーナル紙8月26日の概訳- [Sasayama's Weblog]
2005/09/04(Sun)
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2005年8月26日に、ウォールストリートジャーナル紙に掲載された、「Who Gains From a Japan Post Split?–If Privatization Plan Clears,
About $3 Trillion in Assets Would Get Redistributed–」を、以下に概訳し�... [Read More]
Tracked on September 04, 2005 at 06:05 PM

Comments
「国際社会の声」、「外圧」、「内政干渉」と、使い分けはできるんでしょうね。
「アジア諸国」と「中韓二カ国」でも響きが違うものな。
Posted by: Jonah | August 23, 2005 at 03:48 PM
ちょっと国内事情では通りそうにない案を通そうとするときに「外圧」をお願いする、てのは従来から良く使われる手なんやけどね。
Posted by: Dice | August 23, 2005 at 12:34 PM
「外圧」と小泉さんの見てる方向が同じっていうのがすごいなあ。
Posted by: Jonah | August 22, 2005 at 04:37 PM
うーむ。
「ウォールストリートジャーナルWEB版」にあるように、「日本の郵便貯金350兆円」は信用されてる、てことじゃないでしょうか。
てか「ウォールストリートジャーナル」もよくこんな記事を載せたもんだ。
Posted by: Dice | August 22, 2005 at 09:44 AM
欧米メディアの小泉さん支持論調って、中国の人民元切り上げ歓迎のときとあんまり変わらんような気がするのだけど、あの時は日本では「ついに外圧に屈した中国」みたいに受け止められてたのに、今回は「国際社会からも信用される小泉さん」みたいに受け止められてません?
気のせいかなあ。。。
Posted by: Jonah | August 20, 2005 at 11:32 PM